或る日のこと 店主のところへエアコン修理の依頼が舞い込んできました(^^)
オーナーは遠い西の彼方から来られたみたいでお話を詳しく聞くと
「自宅から近くにあったディーラーが消滅したので何軒か整備工場を
転々としましたが旧い車なので修理出来ない」と言われたので
いろいろと調べてここまで来ましたとのこと。また症状を聞くと
「去年までは雨の日や夜間は寒いくらい冷えていたのですが今年は全然冷えず、
エアコンのランプが点滅したままになるんです」とのことなので
「こちらも点検してみてどこまで修理可能かは判りませんがそれでもよいので
あれば」ということで とりあえず預かることに・・・。
お車は いすず ジェミニ イルムシャー「男の5速」を搭載した男前なやつです。
それじゃ早速点検していきましょう(^^)
エンジンを始動させてエアコンをONさせると「カチッ!」と音がして
コンプレッサーが作動します。
高圧側が少し低いかな。そして10秒くらいしたらコンプレッサーが止まり
オーナーが言っていたとおりエアコンのランプがチカチカと点滅しておりました(゜゜)
すぐさまコンプレッサーへいく電流を見ましたが「0A」(゜゜)
全く流れておりませんし勿論コンプレッサーも作動しません。
とりあえず手探りで追いかけていきます。
圧力スイッチを調べると少し反応が弱い感じがしましたが
とりあえずOK!
エアコンに関係しているであろうリレーを片っぱしから点検。う~ん(ーー;)
電圧をかけてチェックしてもキチンと作動しています。いろいろ試してみて
思っていたとおりコンプレッサーが回らないように「ロック」されているような
感じがしました。もしかしてこれは根が深いんじゃねえか?
バキュームホースがカチカチで割れて抜けておりました(゜゜)
折角なんでヤバそうなバキュームホースを出来るだけ交換して更に追いかけていきます。
室内のクーリングユニット。ココでもいろいろと試してみましたが
やっぱりコンプは止まってしまいます(ーー;)
最終的にシステムを追いかけていくとこの黒いユニットに辿りつきました。
分解して中の基盤を点検。基盤の焼損もなく「ハンダ」の浮きやクラックもなく
コンデンサーの液漏れもなく予想に反してキレイなもんでした(ーー;)
ココまで来て店主的にはこのユニットが原因と踏んでるのですが
これといった決め手がなく、更に調べると既に「製廃」(ーー;)
とうとうココで手詰まりに・・・。
しかしここまできてあまりにも悔しいので
何とか「配線図」を入手!(`´)
コレによりエアコンの制御システムが大体判りました。
見た目はアナログなエアコンシステムなのですがエアコンを保護する為にたくさんのリレーや
スイッチを設置しこの黒いユニットで制御。おまけにエンジンのECUにも絡んでおりました。
シンプル イズ ベストって知らんのかよ!ホント蛇足のカタマリっていう感じです(`´)
しかしいくら嘆いてもこの黒いユニットは「製廃」。
いろいろ探したけど中古もなし。旧車修理の悲しい現実です。
それとココまでイルムシャーのエアコンの故障を探求してみて判ったことは
ウチの前に点検&診断したであろう他の整備屋さんも多分この黒いユニットが怪しいと
いうところまで行き着いたと思います。結局「製廃」なのが分かって悔し涙を呑んだはず。
このままでは完全に手詰まり。だけど悔しい(`´)
それからしばらくは他の作業をしながらずっと配線図を穴が開くほど見ては
「何か良い方法はないか?」「何とかコンプのロックを解除出来ないか?」と思案しました。
結果、オーナーにコレまでの経過を報告してこのエアコンシステムを活かす為に
いろいろと考えた上での「最終手段」として店主なりに考えた修理をすることを
了承して頂きました。そしてじっくりと真空引きしてからガスチャージ。
元々は「R12仕様」なのですがR134aをガスチャージ(^^♪
そしてエンジンをON,エアコンONにしてみますと
コンプレッサーは「カチンッ!」と入ります。この状態から
今までは10秒くらいのところで止まっていましたが今度は止まりません。
とりあえずやったぜ!(^^) そのまま規定量までガスチャージしていきます。
この日のお昼は「激熱」((+_+))
熱中症の一歩手前までいきましたがエアコンのテストにはもってこいの気温でした。
おかげでアイドル状態でもココまで冷えるようになりましたよ(^^♪
そのままいつものようにテストコースへ・・・
信号待ちや渋滞では冷えは落ちるものの一度走り出せば
かなり涼しくなります(^^♪
アイドル時にもう少し冷えてもいい筈なんですがやはりコンプレッサー自体も
少し圧縮不良気味なので仕方ないですね。後は来年のお楽しみってことで(^^;)
そういうことでこれにて一連の作業は終わりました。
納車の際にとりあえずエアコンが効くようになったことにとても喜んで頂きました。
それから今後のことをオーナーにだけはお話しさせて頂きました。
今回の修理については完全ではないですがウチなりにベストを尽くしたと思っております。
旧車の修理作業はパーツとの闘いです。「既に世に無いパーツをどうする?」
「何か流用出来るものはないか?」等で悩みに悩むことのほうが多いと思います。
なので「憧れ」や「容姿」だけに惑わされて旧車を手に入れると
本当に泣きを見るかもしれません(ーー;)
旧車を維持するには時間的にも金銭的にもある意味「覚悟」が必要だと
店主は常々思っておる次第であります(^^♪
自動車の「車検・点検・メンテナンス・整備・修理」等に関する
ご依頼はお問い合わせフォームよりお願い致します<(_ _)>
こちらでもいろいろとつぶやいております(^^;)
なんとなくnoteも不定期に更新しております。
コメント
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BE5D型乗りさま ありがとうございます。
今回の作業、ブログでは だいぶ端折ってますが
ホンマに大変でした。(笑)
これからの自動車修理や故障診断には 凝り固まった一辺倒な従来の考え方えではなく もっと柔軟な発想が必要不可欠かもしれません。
これからも更なる 故障探求に人知れず勤しみまする
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いつも楽しみにブログ拝見させていただいてます。
今回も店主様の探究心と技術力ワクワクしました。
そしてまた1台、車とオーナーさんの気持ちを救われたのですね!
お疲れ様です。
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あれっくすさま コメありがとうございます。
イルムシャー、今見ても 良いスタイリングです。(^.^)
いすゞも 整備性はともかく 良いデザインの
いろいろと乗用車を作ってましたね。
旧車になっていくと「パーツ」問題で結局 手詰まりに
なることが多いので 言われるようなオーナーズクラブ?
みたいなのに入っていろんな情報を仕入れるのも ひとつの方法だと思います。
こちら側も あの手 この手で これからも修理出来るようにスキルをあげなきゃ いけませんね。
がむばります (^^)
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JT191に乗ってました。
ヒーターコアから甘い香り&15万kmだったので
乗り換えましたが・・・
191はエアコンのブロアファンのコントローラーの
半田クラックが定番。
分解して半田盛りしたら治るんですけどね。
JT190も維持がそろそろ難しくなってきました。
ひょっとしたらメンバーズクラブ等で部品どり持ってるかもですね。。。