ある日の昼下がりに
「走行中にエンジンが止まってしまい始動出来ないので点検&修理して貰いたい」との
ご依頼がありましたので早速レッカーにて秘密工場まで運び込まれて来ましたのは
スバル サンバー(KV3)でございます。可愛いい顔した御年27歳(^^)
このくらいの年式になってくると修理というよりほぼ「レストア」みたいな感じです。
このサンバーさまをレッカーしてきたお兄さん曰く
「セルは一応回っているので、たぶんタイミングベルト切れだと思われます」
とのことですので今回も「町工場 奮闘記!」はじめるぞ~(^o^)丿
とりあえず関係者の皆さまがお帰り遊ばされてから故障探求を始めます。
しばらく放置しておきましたら何やらキチャない液体が床に落ちてきました。
何気によく見てみるとエンジンの「冷却水」でしたよ(゜゜)
一年くらい前にTベルトが交換されていたみたいで「タイベル交換したぜ!」シールが
貼られておりました。しかしそんな簡単にタイミングベルトが切れるとは思われず
もう一度サンバーのオーナーに詳しくお話しを聞くことに・・・
するとタイミングベルト交換時にお店の人がウォーターポンプを交換しておらず
「タイミングベルトだけ」しか交換していないことが判明!(゜゜)
原因はそのあたりにあると推測っていうかそこしかねーだろ!(笑)
まずは現在のエンジンの様子を伺うために圧縮を測定していきます。
1番の圧縮は低め
2番と3番はとりあえずOK。
4番は完全に圧縮が足らずアウチ!確かにこれじゃエンジンは始動出来ません(+_+)
最悪の場合、シリンダーヘッドをオーバーホールすることを前提に
オーナーに了承頂いたので作業開始です(^o^)丿
まずはタイミングベルトを確認します。
クランクプーリーが固くて全然抜けません。かなり頑固!(゜゜)
プーラーを使ってやっと抜きましたが
プーリーの中はサビだらけ(+_+)
クランクシャフトもサビでベッタリですがそれよりも何かケース内外がベトベトです(゜゜)
タイミングケースを開けてみたら何かの粉と固形物が溜まっており明らかに異常事態(゜゜)
おぞましくヘドロなケース裏(゜゜)
そして思っていたようにタイミングベルトは切れておらず。
よく見るとカムプーリーとケースとの「合いマーク」がかなりズレておりました(゜゜)
エンジンの「圧縮抜け」はこれが原因ですね。
そして何故にプーリーの合いマークがズレたのか?
それを知るためにタイミングベルトを外してみると・・・
タイミングベルトの背面が擦れて溶けてその溶けたゴムが歯のほうへ流れ込み
カムプーリーのギヤ山をジャンプ↑(>_<)
結果、タイミングがズレてエンジンが始動不能になったということが判明。
そして更に「タイミングベルト」の背面が擦れて溶けた原因が
この真ん中にある「ウォーターポンプ」が焼きついてロックした為でした。
世の中に「たら・れば」は無いけども敢えてタイミングベルトと同時交換していたら
無事に済んだのかもしれない(ーー;)
確かこのエンジンはタイミングベルトが切れても「バルブを突かないはず」
ってことを思い出しましたので早速「胃カメラ」で覗いてみましたよ。
画像左上側にあるのが「バルブフェイス」でクラッシュした跡もなく、
クランクを回すとちゃんと作動しており、圧縮上死点でもピストンと干渉しません。
これでシリンダーヘッドを剥ぐ必要もなくなりました。
やるじゃんスバル!(^^♪
原因も分かったことなので作業を開始していきます。
あまりにキチャないので強力洗浄中。
ウォーターポンプを外します。
ウォーターポンプは完全にロック状態(゜゜)
クランクシール。漏れ止めのつもりなのでしょうが外側から黒のシール材が
塗られていました(゜゜)
こちらはカムシール。もちろんカチカチに硬化してました。こちらもタペットカバー付近に
べったりと黒いシール材が外側から塗られてましたよ(+_+)
カムシャフトのサビも出来るだけ落とします。
カムシールを打ち込み
クランクシールを打ち込みます。
取り付け面をキレイにしたら新しいウォーターポンプを組み付けます(^^♪
クランク&カムギヤ部分にタイミングベルトが溶けたカスが焼き付いており
コレがなかなかに強固で剥がれないです(+_+)
新しいタイミングベルトを張ればいい感じになりましたよ(^^♪
ケースカバー等を元に戻していけば完成です(^^)
真っ黒なプラグも交換。
エンジンオイルやエレメントを交換してファンベルトを張ります。
「水漏れ」の状態で走っていたので予防的にサーモスタットも交換しておきます。
ケースを止めてるボルト。サビて固着しておりました(゜゜)
全部組付けたら真空引きをしてからクーラントを注入。
そしてエンジンが無事に始動するのを確認しましたので
あとはアイドリングや水温が安定するまで「漏れ」や「異音」等が
ないかじっくりとチェックしていきます。
そして全てが整いましたら いざテスト走行へ!
このサンバーさま、スーパーチャージャー付きなのでよく走ります。
絶好調~!(^^♪
秘密工場に戻ってきて最終チェック。
特に問題もなさそうなのでコレにて全ての修理作業が完了(^^ゞ
待ちわびるオーナーにも喜んでもらえて無事に納車となりました。
そして数ヶ月後・・・
再び あの娘がやって来ました。今回は点検のご依頼です。
エンジン関係は前回に作業しておりますのでブレーキ関係を点検していきます。
リヤブレーキ点検中!
ホイールシリンダーが片方はフルード漏れが有り、もう片方は内部がサビで固着してる
みたいで完全にアウチ!(゜゜)
逝かれたシリンダーを外し
新しいホイールシリンダをドッキング!
こちらは漏れ漏れなホイールシリンダー。
こちらはサビてピストンが固着しておりました(ーー;)
反対側も同じように交換したらブレーキを調整します。
あとはブレーキフルードを各部からキチンと抜き替えるだけ。
ということでコレにて全ての作業が完了!(^^ゞ
これでまだまだ暫くは乗れると思います。ずいぶん手間が掛かりましたが(笑)
またお会い出来るのを楽しみにしておりますぜ。
それじゃ またな~(^o^)丿
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こちらでもいろいろとつぶやいておりまする(^^;)
なんとなくnoteも不定期に更新しております。
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