今回入庫してきたのはトヨタ プログレであります。
オーナー曰く「エンジンをかけてエアコンをかけるとカチャカチャと異音がする」
更に「暫くすると音が消える。でもまた不意に鳴り出す」なので
「運転中も気になって困るので修理してほしい」とご依頼頂きました。
それじゃ早速診断していきますか(^^)
まずはエンジンをかけてチェックしますが全く異音が鳴りません(ーー;)
走行してもやはり鳴りません。オーナーは「すぐに鳴ります」とは言っていたが・・・。
それからもいろいろ試したがやはり異音は鳴らず。途方に暮れてしばらくの間放置プレイ。
そろそろ本日のお仕事も終わろうとしていたその時「フッと」プログレのことを思い出した
ので直ぐにエンジンを始動してみた。すると直ぐに「カチャカチャ」と異音が鳴り出しま
したよ(゜゜) しかもオーナーが言っていたとおりに確かにこれは「気になる!」
車内から出てエンジンルーム内の異音を聞くと全く鳴っておりませんでした。
ということはここへきて室内で異音が鳴っているのが確定。
さぁ~これからが本番であります(^^♪
室内に原因があるのは判りましたのでこれからその音源を探してゆくワケですが
こんな時よく使う手は指先を対象物に当てながら微かに振動している箇所を探って
いく方法です。どうしても聴覚だけにたよるとハマることもありますので・・・。
そうこうしているとあることに気が付きました。
オートエアコンを操作すると異音が変化したのです(゜゜)
更に追求すると「20℃~22.5℃」のあたりが特に変化することが判明!
そして更にオートエアコンを操作しながら音の振動を指先で追っていくと
どうも運転席の足元、左側のヒーターユニットのところから響いてきます。
とりあえず確認するのにセンターコンソールを分解。
足元に頭を突っ込んで覗きこむとそこにはあの不快な「異音」の原因がありました(゜゜)
「オートエアコン用エアミックスアクチュエーター」って代物。
これはエアコンの温度調節をしているものでこのプログレには3個付いております。
それぞれが設定された「温度や吹き出し口」になるように電子制御にてユニット内の
フラップ(仕切り板)を動かして空気の流れを制御しています。
今回は制御はしようとしているのですがアクチュエーター内のモーターが弱っている
みたいでフラップを最後まで引くことが出来ず結果的に「引いては戻り」を繰り返し
それが「カチャカチャ」という異音を生み出しておりました。
早速この黒い箱を取り外しますが思ったより大変です!
足踏み式のサイドブレーキのレバーを外さないとアクチュエータが外せません。
めんどくさいです!( 一一)
これがその「アクチュエータ」(左が新品 右が故障品)
白いアームが上下してフラップを動かすのですが対策品なのか品番が変わっておりました。
早速新品のアクチュエータを組み込んでエアコンを操作してみました。
すると完全にあの「異音」が消えてなくなりました。よかった!(^^)
しばらくテスト走行したりしても異音は出ませんので
これにて完治と致しましてプログレオーナーに無事に納車致しました。
自画自賛ではないですが人間の持つ力はどんな優れたテスターよりも凄いと感じます。
自分がこの業界に入ったとき、古い町工場に最新のテスターなどある筈もなく
いつも先輩メカに怒られながら「目視」「音」「振動」「排気ガスの匂い」等に
常にアンテナを張って考え、無い知恵を必死になって絞り、手探りで自動車の修理に
明け暮れておりました(ーー;) そんな経験から最近の電子制御の塊である自動車でも
アナログ的な修理方法で解決することが多々あります。そんな時はとても嬉しくなるのです
そしていつも思いだすのは
「自動車の修理に大事なのは技術と多くの経験、そして経験にもとづく「勘」!」だと
常に言っていた先輩メカの言葉なのです(*´з`)

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