ある寒い日のこと、
「朝一番にエンジンをかけると白煙が凄くて大変なのですが治りますか?」と
お問い合わせ頂きました。原因はいろいろあると思いますが
とにかく電話では詳しいことはわからないのでコチラの方へお越し頂きまして
詳しいお話を伺い、改めて修理をご依頼頂きました。
その時にクルマからすごくガソリン漏れがしており
「白煙よりこっちのほうが危ないですよ」とお話しすると
「それではガソリン漏れも修理してください」とのこと。
それじゃいってみましょう(^o^)丿
お車はトヨタ セリカXXでございます。
「よろしく メカドック」世代な我々としては感涙モンであります(^^)
とりあえず朝一番にエンジンを掛けてみると
マフラーからモクモクとたくさんの白い煙が出て工場内は真っ白に・・・(゜゜)
暫くすると白煙は消えましたが独特の焼けた匂いから間違いなくオイルを
消費しているのが判りました。そして現在の状況から多分「オイル下がり」と断定。
なのでバルブシールの交換をすることに決定です。
オーナーに連絡して了承を得まして作業開始なのですがまずは危ないので先に
ガソリン漏れを修理します。
リフトアップ!
タンクの底からかなり漏れておりガソリンの匂いに酔いそうです((+_+))
固定しているバンドを外したら
タンクを下ろして
原因を追求します(^^)
ガソリンをタンク内に張って長いお休みの間、放置プレイ。結果、ガソリン漏れは
タンク受けのバンド部分からじゃなく「ドレン」のガスケットからでした(゜゜)
ドレンガスケットを交換してからキレイにお化粧したら元通りに組み付けます。
そしてガソリン臭から無事に開放されましたのでコレから白煙修理開始です。
今回はシリンダーヘッドを剥がずに「バルブシール」だけを交換する作戦です。
タイミングベルトがこんにちは!
とにかくカムシャフトを外すために「ドンドン ドドン!」と躊躇なく進んでいきます。
ヘッドカバーも外してタイミングベルトも外すと
カムシャフトが剥き出しになりましたよ(゜゜)
やっとのことでカムシャフトが外れました。
「秘密兵器」にてシリンダーにエアーを送りこんでバルブを落とさないように
細心の注意を払いながら
一本ずつ分解しては「バルブシール」を交換していきます(^^)
これがインテークのバルブシール(右:新品)
見比べるとゴムの部分が硬化して穴が大きくなっているのがよく判ります。
ココからオイルがバルブステムを伝ってシリンダー内へ侵入してエンジンオイルが
燃やされているのはほぼ間違いありません。
エキゾースト側(左:新品)
コチラも同じようにシール部分が硬化して穴が広がっておりましたよ。
鼻歌混じりのいい感じでバルブシールをドンドン交換していくのですが
このセリカのエンジンは「24バルブ」もあるのでバルブシールを24個も
交換しなければならず想像以上なかなりの重労働です。
そして何個か交換している時に店主の携帯にお客さんから電話が入り
しばらくお話をして作業を再開しようとした正にその時、急に
「シューーーー!」(゜゜)
と何やらエアーの音がしたのでエンジンのところへ急いで行ってみると
まさか!(゜゜)
「ギャァァァ~!」
「バルブが~バルブが~バルブがぁぁぁ~・・・」
「シリンダーの中に落ちていったぁぁぁ~」_| ̄|○
突然ですがまさかの「エア漏れ」が発生!
それによってエキゾーストのバルブがシリンダー内に落ちていきました。
しばらくの間、呆然と立ち尽くす店主。
「ありえね・・・」
何度も顔を抓ったり、先の尖ったもので自分の太ももを突いてみたりしましたが
やはり「夢」ではなく、それでもシリンダー内に落ちたバルブを何とか引き上げ
ようとしてみましたが当然のごとく深いところに落ちていったものが戻るわけもなく
40を過ぎたオッサンが油くさい工場の片隅で本気で泣きそうになった
寒い冬の夜のことでした。(´Д⊂

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こちらでもいろいろとつぶやいております(^^;)
コメント
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田舎の修理屋2さん
コメが苦手なのに アリガトですm(_ _)m
>失礼ですがメチャうけてしまいました
その一言で救われます(笑)
>この時の状況&これから先に待っている何倍もの苦労を思うと落ち込む事など同じ整備士としてよく解ります
目の前は「真っ暗!」 頭の中は「真っ白!」
ヘッドを剥ぐのと剥がないとでは雲泥の差がありますし
何よりも おしゃるとおり 「悲しい」です(´Д` )
それでも苦労して無事に修理が完成した時の感動は
修理した人間しか味わえません。
ご同業さまのようですので
自動車修理の大変さ&うれしさは よくわかってはると
思います。
これからもよろしくお願いします
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てんてんさま
いつもご覧いただきまして ありがとですm(_ _)m
お車のことなら いつでも ご相談?くださいまし(笑)
>果たしてこの事件?のその後はどうなるのですか?
哀愁漂う 自動車修理日記をアップしときましたので
ご覧ください。 ( ̄▽ ̄)
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みじんこさま
おっしゃるとおり「最悪」の事態発生です。
泣いても喚いても? 元には戻りません(笑)
たぶんこれはヘッドを降ろすしか方法がないかと。
工具は大事ですが あんまり頼るのも・・・(;_;)
いい勉強になりました。
スズキ系はやたらとバルブとピストンリングが減りますね。 エンジン開けてびっくり玉手箱?
やっぱり コストでしょうかね~
メーカーも もうちっと 考えてもらいたいもんです。
これからも よろしくデス!
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いつも楽しく拝読しています、コメが苦手で初コメです。
失礼ですがメチャうけてしまいました、この時の状況&これから先に待っている何倍もの苦労を思うと落ち込む事など同じ整備士としてよく解ります。
この後の展開が気になります、またアップして下さい。
頑張って下さい。
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こんな風に修理するのかと、興味津々でいつも楽しみにしています。
当方もちょっと遠いけど大阪なので、縁があればお世話になるかもしれません。
果たしてこの事件?のその後はどうなるのですか?
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うわぁ・・・最悪ですね・・・。
便利な道具だけど、ちょっとしたことで大惨事になるんですね・・・。
で結局ヘッドは下ろしたんですか??
うちはこんな道具が無いので、嫌でもヘッド下ろしてます。
スズキのエブリーとかキャリーはよくヘッド下ろしますね。
痩せたバルブとバルブシール交換のために・・・